March 28, 2004
William Basinski + Richard Chartier / (non titled)
先日書いたTaylor Deupree / Januaryと同発のKK:002。
スティーブ・ライヒのカムアウトから続く、
テープループによるミニマルを継承しつつ、
あまりにもあまりにも素晴らしい傑作を
音に映像に絵画に発揮し評価を得ている
NYのアーティストWilliam Basinskiと、
ミニマルもミニマル、ミニマル過ぎて、
顕微鏡でも使わなきゃ見えない(聞こえない)ぐらい、
微細なミニマル作品を発表し続けつつ、
Taylor Deupreeの12K傘下のレーベルであるLINEを仕切り、
自身のレーベル3Particlesも運営するRichard Chartierの、
ミニマル界の2大鬼才によるコラボ作。
バシンスキーの音源をシャルティエがいじるのかと
勝手に思い込んでいたのですが、
音を聴く限りどうもその逆のようです。
(もちろんバシンスキーの音源も使われてますけど)
と、言いますか、バシンスキーとシャルティエ両人の
「これ」という特徴が表には出ず、完全に融合したという印象で、
正直、期待と大きく違って戸惑いました。
バシンスキー特有のワンフレーズで聴き手の心臓を鷲づかみにするような
印象的な音素材を執拗にループさせ続ける手法もなければ、
シャルティエ特有の、耳を澄ましても更に遠くの方で鳴っているような、
マイクロスコピックサウンドと形容されたりもする、
微細で微細で、且つ、その音が認識できた瞬間に、
顕微鏡の中が万華鏡の中のように感動的な世界に変わるような、
ギリギリに研ぎ澄まされたミクロ世界でもない…
平たく言えば、ループしないバシンスキー、
もしくは、音がよく聞こえるシャルティエ。
けど、これが凄い。
随所にバシンスキーの、シャルティエの、
その鬼の才能がズギューンと切り込んできて、
ゾクゾクポイントとか、ため息ポイントが多々あって、
「うぁぁぁ、バシンスキー」とか、「うぁぁぁ、シャルティエ」とか、
「うぁぁぁ、二人ともすげぇ…」とか、うなりっぱなし。
わずか2曲。
あまりにも生々しい両者の激突に
タイトルなど付ける必要もなく、アルバムは無題、
曲も1.(20:53)、2.(36:08)と収録時間のみ。
アンビエントミュージックというのは
聴くことを前提としない聞こえる音楽であるわけですが、
これは全然聞こえる音楽なんかじゃない。
耳を澄まして積極的に聴きにいかなければいけない、
アンビエントと真逆にある音楽。
聴き始めたら1時間近く完全に周囲の雑音をシャットアウトして
聴き入らなければいけないので、そうそう簡単には聞けませんが
そうする価値もあるし、そうしなければ意味もない、まさに鬼の作品。
とはいえ、普通に聴くとただ、ボヮ〜とかキ〜ンとかジィ〜とか、
ノイズが鳴っているだけにしか聞こえない危険性もありますし、
バシンスキー入門にもシャルティエ入門にもならない内容ですし、
ここまで書いておいてなんですけど、そんなにお薦めではなかったりします。
